制作への思い
ご依頼主さまのお話にじっくり耳を傾け、
お預かりした写真としっかりと向き合う。
毛並みや繊細な模様の再現、さわり心地、重量感、
また脚や顔の向きを動かせるように
ジョイントすることで、つくり出される表情やまなざし。
そんなこだわりからアトリエ・クチュールの作品は生まれます。
しかしながらどんな技術をもってしても、
ぬいぐるみは鳴きも動きもしません。
けれどもお届けしたみなさまがいとおしく抱きしめてくださったり、
毎日話しかけてくださったり、
いつもの場所に座らせてくださったり。
そんなお話を聞かせていただく度に思うのです。
ここから巣立っていくぬいぐるみたちにとって
一番居心地のいい場所で愛情をそそがれることにより、
魂が吹き込まれるのだと。
そしてようやくアトリエ・クチュールの作品は
完成するのです。
制作のこだわり / 6つのポイント
お座りから伏せへ姿を変えられるのはM、Lサイズの「お座り」でご依頼頂いた場合です。
「伏せ」でご依頼の場合は固定の伏せ姿となります(お顔は回ります)
- 1作家自身がお話を聞く理由
ご依頼を受けましたらお電話でご依頼主さまとお話をさせて頂きたいと思っております。
実際にわんちゃんに会いにいくこともあります。
作り手である作家が話を聞く事で、写真だけでは把握しきれない部分や非常に難しい色の表現について、少しでも『感覚を共有』することができます。それこそがご依頼主さまのご希望に近づく第一歩なのです。ご依頼主さまによっては、その子は『こども』であったり、『相棒』であったり、『友人』であったり、『兄弟』であったり、『戦友』であったりとさまざま。
その子の家族との生活やどんな生涯を送ったかなどのエピソードを聞くことによって、その子自身の個性を引き出すことにつながります。まずはじっくりお話をうかがうことから始めさせていただきます。- 2モヘアを使う理由
モヘアのロングはシルクよりも高価とされる毛織物で、特にロングのこの織りを提供できるのは世界でドイツのSchulte社のみです。ご依頼いただく子たちは、人間同様さまざまな個性を持っています。
同じ犬種だとしても、毛の色や長さはさまざま。比較的安価なアクリルなどの化繊では染織ができず、既存の色からしか選んでいただくことしかできませんでした。少しでもご依頼主さまのご希望に近づけるようアトリエ・クチュールのオリジナルとして天然織物を使用することによって、染織が可能になります。既成の繊維ではできない色合いや風合いを出すことによって、わんちゃんそれぞれの表情を引き出すことが可能になるのです。また、せっかく帰って来たうちの子を抱っこしたいのは家族として当たり前。その際に、織物を使用することで毛が抜けにくくなります。
- 3手足や顔が動かせる理由
手足や顔を動かせることによって、一層リアル感が増します。ふとした表情が違って見えたり、生き生きして見えたり。その子の大好きな表情を見つけることができます。また、重量感も大切で重さがある程度ある事によって、抱っこした時の感覚がその子のリアルさを思い出させてくれるようです。
- 4独自の染色技術とヨークシャテリアのフルコート制作が出来る理由
《 染色 》
最初の頃は1体だけの為に、生地色を作ってくれる工場はございませんでしたが、
染色工場様との長い期間の開発により、市場には無い独自の色出しが小ロットで可能になりました。
ほか、当社独自の染色技術により、不可能だった指定箇所へのグラデーション染色が可能になりました。
(猫のトラ柄や、オーストラリアンシェパードのようなグラデーション柄など)《 ロングコート 》
縫製の際、モヘア織物に別の毛を縫い込む事により、モヘアやフェルティングだけでは、
限界のあったヨークシャ・テリアのロングコート(フルコート)の制作が可能となりました。
フルコートのぬいぐるみは、アトリエクチュール真骨頂と自負しております。- 5お客様が誇りです
長い間お待ちいただいているにもかかわらず、私を信じてくださり、時には励ましのことばまでお贈りくださいます。
展示会があれば、顔を出してくださったり。その子をお渡しして終わるのではなく、ずっとおつき合い頂いてきました。
愛情深いみなさまが何より私の誇りであり自慢です。- 6600体、50種類以上の犬種の制作実績が宝物
愛情深く育てられたたくさんのご家族の子たちを作らせていただきました。
その数は600以上に及びます。その度に悩み、研究し、失敗しを繰り返し経験を積み重ねてまいりました。そしていま、この経験は何にもかえがたい宝物です。私を育ててくださったのは、ご依頼主のみなさまです。
アトリエ・クチュール制作の様子
アトリエ・クチュールの作品は、制作はもちろん、お話をうかがいご家族のもとへ送り届けるまでがお仕事。
そんな工房の様子を一部、ご紹介いたします。(簡略化しております)
すべてはデッサンから
お客様からうかがった話を思い出しながら、この子がどれだけ愛されていたかをかみしめ、デッサンスタート。
自然とやさしい気持ちになれるのです。まずは型紙づくり。100パーツを超えることも
そのワンちゃんだけの、オリジナルのデザインをおこすために、パーツごとに型紙を制作。
この工程をなくしては、アトリエ・クチュールのオリジナル作品は完成しないほど重要な工程。ぐっと気合が入ります。施策段階で、納得がいかずボツになったパーツたち。(左下写真)
鼻、鼻、鼻!と肉球。もちろん手作りです。(右下写真)布選び
ワンちゃんの毛並みに合わせ、アルパカやアンゴラ山羊のモヘアなど
約400種ものサンプルの中から布を選びます。染色
染色やペイントをほどこし、よりリアルに。
気温や湿度で微妙な色の差が出るので染料液の調合はまるで科学実験のよう。完成
最後は表情を作り出す大事な工程。
ガラス製の目を使い、まぶたもつけて完成。
別れるのがさみしくなったりもします。