染色のこと
昨日、お世話になっている染色会社さんへお邪魔しました。
柄染めは工房内でやるのですが、布の地染めは、染色会社さんへお願いしています。
滅多に書かない、お取引先さまのお話です。
オーダーワンちゃんの毛色は、本当に千差万別で、市販の生地色だけでは、全く足りません。
例えば、この子の場合、黒だけで3種の布を使用しています。短毛部、長毛部で、それぞれ別染めで、使い分けています。
昔は自分で染めていましたが、違う素材で、同じ色を出すことや、多種の色を作る事に限界を感じ、10年ほど前から、こちらの会社さんにお願いしています。
10年前、紹介もなく、突然メールを送りました。
通常、染色会社さんは、大ロット、リピートがあるものなので、生地メーカーさんのお仕事でないと、なかなか受けて頂けません。
少量多色、デリケートな素材の場合は、まず不可です。
ましてや、私は個人事業主。普通は受けたくないでしょう(笑)
確か『少しづつで申し訳ないですが、ノンクレームで出しますので、やってみて頂けませんか?』と、伝えた気がします。
どこの誰だか分かない私の仕事を、よく受けてくださったな。と、感謝しています。
単価は、それなりにお高くはなりますが、それ以上の、きちんとしたものを、いつも納品頂けて有難いです。
デリケートな素材なので、染めダメージの限界と、正確な色を出す事の間で、難しい染色だと思います。
最もユルい回転で染めてくださってます。
モヘアなのか、アルパカなのかは、もちろんのこと、織メーカーの元の白の入り方によっても、染め上がりの色が変わるので、素材ごとに色データが必要で。
10年かけて、150種ほどの色見本が溜まりました。全て工場さんにデータがあります。
このデータは、パターンと同じく、私の宝です。
万が一、またゼロから作らなくてはいけない事態になったら、もう私、、、立ち直れません(笑)
10年もの期間、お付き合いできたのは
ひとえに社長の、誠実で、前向きで、新しい事に挑戦される、お人柄のおかげです。信頼しています。お会いすると、元気になります。
お互い、頭の中の100%を仕事が占めて、ただ、ただ前を見て走っていた頃に出会えた事も、良かったと思います。
「狂ったように仕事をする時期って、必要ですよね。あってよかったですよね」
という昔話と、またこれから先の話が出来るというのは、感慨深いです。
お話で聞いていた、社長の右腕である室長の女性にも、やっとお会いできました。
ずっとお伝えしたかった事があり。
彼女の技術のおかげで、アトリエクチュールが成り立ってきたこと。
これほど色展開が可能な、ぬいぐるみ制作会社は(たぶん)日本で他には、ないであろうこと。
彼女の仕事がぬいぐるみという形になった時、お客様が本当に喜んでくださり、とても大切にしてくださっていること。
伝える事ができて、良かったです。
芸大や染色科を出られた女性達が、頑張ってらっしゃいます。
私がお願いする染色は難しいらしく、室長さんが、ずっと担当してくださっていましたが、次の方も優秀でしっかり育っていらっしゃるとの事で、ご挨拶できて、良かったです。
ホントに、これからも、よろしくお願いします。なのです。
工場は、今の時期暑くて、私は5分で事務所に逃亡しました。
その中で、こんなに可愛らしい女性達が、生き生きと頑張ってらして、頭が下がります。
職人仕事というのは、どの仕事でも、一人前になるまで、地道で果てしなく長い年月が、かかります。
石の上にも3年。
なんて、短すぎます。
本気でやると、人生を全部を、かける事になります。
ご自身の中に、何かしらの心意気無くして、仕事として続ける事は出来ません。
「なぜ、出来るようになったのですか?一生懸命、続けてこられたのですか?」
これも聞いてみたかったこと。女性職人さんには、聞きたくなる(笑)
「社長に教えてもらいました。あとは自由にさせてもらえたので」と。
秘蔵っ子ですね。
ご本人のセンス、頑張り屋さん気質、責任感の強さと、社長の包容力のたわものなのでしょうね。
良い会社さんだな~。と、思いました。
彼女達が染めてくださった大切な布を、大切なお客様に、心して制作しようと、あらためて思いました。
アトリエクチュールは、お客様に支えて頂いているのはもちろんの事、本当にいろいろな方や、会社さんに、支えて頂いています。
ありがたいです。